FC2ブログ
脳空間自由飛行
★メインはオリジナル小説(※著作権留保)の掲載... ★観月ありさ、宇多田ヒカル、マリア・シャラポワ、蒼井優、上戸彩、堀北真希、剛力彩芽、新垣結衣 ★小説の読みたい回を探すには「ブログ内検索」が便利!
FC2カウンター



プロフィール

かづしげ

Author:かづしげ
★★★「君という光」連載中. 
★長編『アミーカ』 :"R18指定" 18歳になった夏樹は家出して風俗業界に飛び込んだ…
★長編『黒い美学』 :近未来SFアクション. on line RPGで大事件発生!
★短編『10年目の花火』
★長編『ドロップ』 :新人文学賞をめぐるミステリー



カテゴリー



リンク

このブログをリンクに追加する



最近の記事



ブログ内検索



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



RSSフィード



オリジナル恋愛小説「君という光が」第22回ー長編全70~90回程度
[第22回「君という光が」: 登場人物紹介]
※年齢は全て、ヒカルの2006年8月18日の埼玉二日目コンサートの時点を基準にしています。

ヒカル: 23歳、日本を代表するR&Bシンガーソングライター。全米にも進出中。宇多田ヒカルのイメージをそのまま重ねていただければ結構です。このストーリィには直接関係しませんが、主要人物に対する心理的影響は大きなものがあります。

西田智也: 24歳、フリーター、ネット投資家、早稲田大学文学部受験に2年連続失敗し、日大文学部中退の過去を持つ。バイト先の中島明菜と交際を始めたばかり。ヒカルのコンサートで渡瀬奈緒美と邂逅する。コンサート記事を書いたことにより、円城寺いずみからメールが送られて来た。

渡瀬奈緒美: 23歳、多摩美術大学グラフィックデザイン科2年生、円城寺いずみと親友、藝大受験を5年連続で失敗し、4年間の浪人生活にピリオドを打って多摩美に入学した苦い過去を持つ。ヒカルのコンサートで西田智也と邂逅する。

中島明菜: 20歳、フリーター。バイト先で西田智也と出会い、ヒカルのコンサートで初デート。何かの拍子に自分のことを『ボク』と呼んで落ち込むことがあるが、過去にトラウマがありそうだ。

円城寺いずみ: 21歳、多摩美術大学グラフィックデザイン科2年生、渡瀬奈緒美と親友。入院中。西田智也と渡瀬奈緒美を交際させようと画策するが…

円城寺誠: 16歳、高校1年生、円城寺いずみの弟、ブラジリアン格闘技修行中。

西田智彦: 53歳、西田司法書士事務所所長、智也の父。子どもっぽく責任感が薄いので事務所の使用人からも嫌われている。
西田典子: 52歳、西田司法書士事務所経理担当、智也の母。




++++++++++これより本編+++++++++++



[  早目に自宅へと引き上げた僕は、久し振りに知人のブログを回遊して回った後Eメールをチェックした。またも新しいメルトモができたようだ。それは昨日の夜送信されたものらしく、送信者は小夜子さんだった。★★★ ]
 小夜子さんは以前にも触れた通り『小夜子の本棚』と言う書評をメインとするブログを書いている。扱うジャンルは小説が主だが、ノンフィクションもあるし、彼女が個人的に強い興味を持っているスピリチュアルな分野もカバーしている。
 子供の頃は僕も結構本を読んだが、最近は長く掛かる読書で大切な時間を無駄にしたくないから、彼女のブログで星がたくさん付いたレビューを参考に読むべき本を選定している。そんな関係でコメントを幾つか書き込んでいる内に、自分が小説家志望であることを内緒コメントで告げたことがある。それが始まりで彼女も僕のブログへ来てくれるようになった。僕が掲載している唯一のオリジナル短編小説を読んで、コメントまでしてくれたのは彼女が最初だ。希少な読者として少なからず感謝している。それでも彼女が僕にメールをくれるとは、一体何の用事だろう。オフ会でもやるのか。それにしてはそんな記事はどこにも無かったようだが……メールを開いて読めば直ぐ分ることだけど、作家志望の僕は想像することが好きだ。

『 トモヤンさんへ

 誰からだろうってびっくりした? 「小夜子の本棚」の小夜子だよ。「さん」を付けると自分的にはおかしい気がするからハンドルの呼び捨てを許してね(笑)
 トモヤン、いつも私のブログへ遊びに来てくれてありがとう。それからお友達まで紹介してくれて、それもおおきに。』
 誰だろ。お友達なんて彼女に紹介したっけかな。僕は首を捻った。先を読めば分ることだ……
『彼女良い娘だわぁ、とっても。
 折角のトモヤンからの紹介だからね、彼女の好きな本の傾向を訊いて幾つか本を紹介したのよ。あ、そうそうあの娘、朱川湊人さんが好きらしいじゃないの。それでトモヤンとも仲良くなれたんですってね、やるわねぇトモヤンも、隅に置いておけないぞ、この、このぉ(笑)
 そのセンチャンがね、推薦した本の感想をメールに書いてくれたんだけど、彼女のセンスってかなり鋭くて私びっくりしちゃった。あれは普通の感性だけじゃなくて、きっと彼女のスピリチュアルなものから来るんじゃないかと思うわ。
 それに少し気になるんだけど……トモヤンは私のスピリチュアル関係の記事は読んだことあるかしら? その関係記事にコメントもらった事無いから、あまりその手のものは興味ないのかな。だとしたら言ってもしょうがないんだけど、読んで笑うなよぉ。私も実は霊感が強い方なの。
 彼女のメールにそんなことは一言も書いてないんだけどね、あの子、何かを強く求めている気がするんだなぁ。それが何なのかは今の所分らないんだけど……何か救済みたいなものを求めている気がするの。勿論宗教的な意味じゃなくてね。私も宗教自体はあまり好きじゃないし、特に新興宗教って怪しいから。
 彼女今入院しているじゃない。それで病院内では電波が強すぎると言う理由で携帯は使用禁止されていて、電波の弱いPHS=エッジなら良いって許可もらったらしいの。大阪と千葉じゃねぇ。電話代高いから(笑)今はとても電話できないけど、あの娘がエッジに変えたら電話してみるつもり。私もウィルコムだから、加入者同士なら殆ど通話料掛からないしね。電話で話してみれば霊感的なものも伝わり易くなるから、あの娘のこともっとよく分ると思うよ。
 これは余計なお節介かも知れないけど、もしトモヤンがセンチャンと付き合っているなら、言葉以外にも彼女が内側から発しているものを感じ取るように努力しなくちゃいけないよ。あの娘、とっても繊細な人だと思うから。
 突然メールしちゃった上にお説教みたいなことまで言ってごめんね。これに懲りずにまたブログへ遊びに来て。
 じゃあまたね!   』

 驚いた! 円城寺いずみさんが小夜子さんとメールしていたとは。それも僕からの紹介だって。僕は例の「ヒカルファンの集い」の後半で、ヒカルクイズで盛り上がった後、彼女が今の本を読み終わったら次は何を読もうかと迷っていて、お勧めの本が無いかと僕に質問したことを漸く思い出した。
 読書量を他人には決して自慢できない僕は、あの時『小夜子の本棚』を彼女に教えたのだ。それにしても彼女が小夜子さんと親しくなっているとは。
 霊感なんて本当にあるのだろうか。僕自身は今までそれをあまり信じていなかった。渡瀬さんに初めて出会った時感じたもの……あれがもしかしたら霊感みたいなものか。そしてあの出会いが単なる通りすがりじゃないとしたら。事実彼女と僕は再会を果たしたのだ。しかもそれが明菜ちゃんと僕の関係をあっと言う間に深くさせた原因で、別れることになった遠因でもある。渡瀬さんと僕は見えない糸で結ばれていたのか、それとも小夜子さんが勘違いしているように、その糸が結んでいるのはいずみさんの方だろうか。
 どちらにしろ僕には少し時間が必要だ。明菜ちゃんと別れたばかりなのに、今直ぐ別の誰かと付き合うなど赦される筈が無いような気がした。
 僕は小夜子さんへ全体的には当たり障りの無い返信メールを書いて送ったが、彼女がくれたアドバイスに関しては、センチャンと交際している訳ではないが、彼女を理解する上で貴重なヒントになりそうだと書いた。何故なら、内なる声に耳を傾けることが如何に大切なことだったかは、明菜ちゃんとのことで嫌と言うほど身に沁みて分ったからだ。もっと早くこのアドバイスがあればと思った位だ。父母の問題では経験と忠告を生かそうと改めて思った。
 貴重なヒントで思い出した。金曜日にもらったキャベジンさんの回答メールに対して、まだお礼メールを書いていなかった。
 それは辛い思い出だったが、彼のヒントがあったからこそ『今直ぐ津田沼駅へ来て』と云う、明菜ちゃんのあのメッセージを解読できたのだ。明菜ちゃんは駅のロータリーで三十分か、長ければ一時間もの間、僕が来ることを信じて待っていたに違いない。僕が後数分でも早く到着していれば、明菜ちゃんに会えた可能性は高かった筈だ。あそこで会う事ができたなら、あの別れも無かったかも知れない。
 そんな思いはキャベジンさんには一切関係が無いことだから、僕は単純にあのA.S.A.P.の意味を教えてもらったお陰で助かりましたと書いた。勿論返信が遅くなったお詫びを付け加えて。やがてこの先彼に対し、事情を話せる日がやって来るかも知れないが、今の僕にはやはり辛過ぎる。







      「尾行」

 九月五日火曜日午前十時。僕は今日の行動を決める為に高橋さんの携帯へ電話した。
 この日の午前中、父に外出予定は無かったが、経理強化週間と称して、先週に引き続き母が来ていた。どうやら母は、今週の火、木、土曜日を事務所で過ごすつもりのようだ。先週の行動に習えば、火曜日と木曜日の二日間父母はランチを共にして、午後から父は用事を作って外出してしまう可能性が高い。そうなると僕が考えている張り込みは無駄足となる訳だ。
 先週母が来た月水金の三日間の午後、父が外出した用事は法務局回りだった。一般的に、司法書士事務所のそうした業務は補助者の仕事と言われている。それなのにそんな仕事で父が外出するのは、事務所に妻が居ることが余程煙ったいとしか思えない。
 翌日水曜日も同じ様に僕は高橋さんに電話した。彼女の応対は実に巧妙で、傍に父が居るにも関わらず不自然さの欠片も見せない。その才能を生かすには、寧ろ産業スパイにでも転職した方が良いんじゃないかと思った位だ。
 これから冷静沈着なる隠密行動を開始しようとしている癖に、僕は面接へ向う新卒者の様な緊張感を拭い切れないまま目的地へと接近していた。車の通りが殆ど無い線路沿いの小道を駅に向って侵入すると、間も無く事務所のあるビルが右手に見えて来る。50M程手前で電柱の陰に隠す様にしてバイクを駐輪した途端、思わず武者震い。もう後には退けない。手袋を取った手は妙に汗ばんでいた。
 予定通りの十一時半、僕は小さな書店で立ち読みを装っていた。二つ隣のビルから出て来る男を見張る為だ。五分程でターゲットが店の前を通り過ぎて行くのを確認する。僕は慌てて本を棚に戻して外へ出た。ところが駅へ向うと思っていた標的の後姿は通りのどこを捜しても見つからない。
 大いに焦った。気取られないようにつかず離れず慎重に尾行するどころか、目標の匂いを突然失って、どたばたと当り構わず嗅ぎ回る警察犬と今の僕は殆ど変わらなかった。もし違った所があるとしたら、僕が不安気な鳴き声を漏らさなかった事位だろうか。
 幸いな事に少し行くと、人が普通に擦れ違えない程狭い路地を右側に見つけた。路地の先で右に曲ろうとする父の後姿を目端に捕らえた僕は、ビルとビルの隙間に出来た道を小走りにすり抜けた。
 簡単に考え過ぎていたが、尾行は素人にとってかなり難しい。僕の基本的な失敗は標的が駅へ向うと思い込んでいたことだ。事前に周辺の地理的状況を入念にチェックしておけば、ここで焦る必要など無かった筈なのだ。
 路地の先は線路沿いの小路とは違って、人通りのずっと多い大きな通りで、ある程度距離を取れば何かの拍子でターゲットが後を振り向いたとしても、ちょいと横を向くだけでやり過ごすことができそうだ。
 最初のミスで冷や冷やした割には、その後の追跡はかなり巧く行った。父は繁華街をそのまま横切り、新京成線の小さな踏切を渡って行く。僕は遮断機が降りないことを祈りながら差を詰めるように歩行速度を上げた。その先は人通りも少なく追跡者にとって状況は厳しかった筈だが、寧ろ僕は安心していた。踏み切りを渡った後はまた十分に距離を取った。父の向う先が事務所の車を置く契約駐車場であることはほぼ間違い無い。問題はそこが待ち合わせ場所なのか、そこから車で別の待ち合わせ場所へ移動するかだ。
 父が左側の契約駐車場へと入って行くのを認めた僕は、素早く距離を詰め手前の小道に入った。そこは奥の袋地の様な宅地に繋がる二M幅にも満たない生活用通行路だ。家の人に見つかったら大変だが、両側が垣根になっていて潜むには好都合なポジションだ。駐車場のフェンスは金網で、垣根に接するこちら側からはよく見えるのに、少し離れた向こう側からは殆ど見えない点も好都合だった。
 金網の向こうで父は白い車へ乗り込んだ。見る所、助手席にも後部座席にも人の姿は無い。父の運転するカローラは間も無く駐車場を出て行き、今まで二人が歩いて来た延長方向に当る左へと曲って行った。僕は素早く道へ出たが、左ドッグレッグした道は車の後姿をあっと言う間に隠してしまった。その少し先は確か十字路になっている筈だ。
 追跡手段の無い今日の仕事はそれで終った。次回はこの近辺にバイクを停めておくべきだろう。早く決着を付けたいと考えていたが、状況的に見て長期戦になることも覚悟しなくてはならないようだ。結果が出るまでに、父母の間で決定的な事態が起こらないことだけを切に願った。

 七日木曜日朝。母は事務所へ出勤する為の準備をすっかり整えていた。★★★



++++++++以下次回へと続く+++++++++



スポンサーサイト




テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学


この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する