脳空間自由飛行
★メインはオリジナル小説(※著作権留保)の掲載... ★観月ありさ、宇多田ヒカル、マリア・シャラポワ、蒼井優、上戸彩、堀北真希、菊川怜、サトエリ、浜田翔子、眞鍋かをり、映画TVドラマ ★小説の読みたい回を探すには「ブログ内検索」が便利です!
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かづしげ

Author:かづしげ
★★★「君という光」連載中. 
★長編『アミーカ』 :"R18指定" 18歳になった夏樹は家出して風俗業界に飛び込んだ…
★長編『黒い美学』 :近未来SFアクション. on line RPGで大事件発生!
★短編『10年目の花火』
★長編『ドロップ』 :新人文学賞をめぐるミステリー



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オリジナル恋愛小説「君という光が」第10回ー長編全70〜90回程度
[第10回…その前に第9回までのあらすじ]
 ヒカルファンサイトのブロガーの大阪公演レポートに感激した僕は、ヤフオクで埼玉公演のペアチケットを入手した。バイト先の中島さんをコンサートへ誘ってみると、2日目の金曜日ならOKとの返事を得た。
 初日分の8/17木曜日は一人で『さいたまスーパーアリーナ』へ出掛けることにしたが、会場に着くまでのアクシデントの連続で運命変化の予兆を感じた。しかもコンサートではヒカルの喉に変調が生じたのだ。変調を補うほど感情伝達は素晴らしかったが、翌日のヒカルが心配でならなかった。
 2日目は中島明菜ちゃんと待ち合わせた電車が人身事故の影響で運休となった。行く途中二人の会話は、弾んだりぎくしゃくしたりしながらも僅かに進展した。
 300レベルの観覧席は明菜ちゃんを十分に満足させたようだが、遅れて来た隣のカップルの男がヒカル批判を声高に喋るので口を塞いでやりたくなった。
 ヒカルはチェロとの共演で上がるべき音を下げてしまい「2分間の中断事件」を起した! ステージに戻ったヒカルは奇跡の復活を遂げたが、フィナーレの「光」の時右側の女が僕の手に触れた。女のことが気になり過ぎて、明菜ちゃんの気分を害したかも知れない。帰り道では沈黙が続いたが、彼女が僕とあの男のケンカを怖れていたことが分った……



++++++++++これより本編+++++++++++



[ 「あの女の人は先に行っちゃったから、男はあの人の行方を気にしながら、バカヤローとか言ってすぐ追い掛けて行った。私ほっとしたんだよ。でも凄い顔付きだった」
 明菜ちゃんは白っぽい顔をしている。思い出してまた怖くなったみたいだ。★★★]

 すると僕は、ヒカルに感動して泣いている間、男の罵声も知らず俯いていたのか……あんな奴が怖くて、顔を上げられない臆病者のように。
「こ、怖かったんじゃないよ。ぜ、全然気が付かなかった」
 しどろもどろな言い方になった。びびっていたことを認めたみたいだ。
「良かったぁ」
 意外な言葉が返って来た。
「どうして」
「ううん、何でもない」
 それきり明菜ちゃんは口を閉じた。
 電車は東京駅に近付いて行く。腕時計を見ると、午後九時半を回ったばかり。
「東京駅で総武線に乗り換える? もし良かったら……」
 自信の無い僕はそこで言葉を切った。
 明菜ちゃんの返事は容易に予想できた……
『もう遅いからまっすぐ総武線で帰ろうよ』
 そして僕らは沈黙の旅客となって、明菜ちゃんは途中の津田沼駅で降り、僕は一つ先の稲毛で降りて、明日から二人はただの同僚に戻り、松尾君に対する笑顔よりも、さらに他人行儀で冷ややかな笑顔を目にしながら、僕も曖昧な笑顔を返すだけ。そんなやりきれない毎日が必然的にやって来るのだろう。
「もし良かったらって」
 予想とは違って、明菜ちゃんは言葉の続きを要求した。その目には、怒りとか、からかいなど微塵も無さそうだ。
「もし良かったら、東京駅で降りて有楽町の方へ歩いてみない。安くておいしそうな店が幾つも並んでるんだけど……ホント、もし明菜ちゃんが良かったらだけどね」
「良いよ。おいしいものおごってね。割り勘でも良いけど」
「勿論おごるよ! 明菜ちゃん焼酎とか飲める?」
「お酒飲んだら、色々訊いちゃうかも知れないけどね」
 明菜ちゃんはにっこりと笑った。
 明菜ちゃんは本当に怒ってないのだろうか。この先の展開が少しだけ怖かった。

 東京駅丸の内側へ降りた僕たちは、煌々と灯りの点る丸ビルを正面に見た。明菜ちゃんが指差して、声を上げた位綺麗だったが、そこで飲食する予算は僕には無い。
 予定通り二人は、左手の山手線線路沿いの歩道を、有楽町へ向って歩く。通りの向かい側には中央郵便局が見え、その先に見慣れないビルがある。この辺も来る度に新しい建物が増えている。
 そのビルの左角が丁度交差点で、新ビル入口前にはレストラン群のサインポールが見えた。どれも高そうだなと一瞥をくれながら、信号を右には折れず直進した。
 交差点を渡った所からは、鉄道高架下を利用した、小さな飲食店がずらりと軒を並べており、通りを挟んだ反対側が東京国際フォーラムだ。総ガラス張りの巨大な吹抜け空間を擁する、あの艦船型ビルが聳えているのだ。おもしろい取合せじゃないか。
 飲食店街の一軒目が僕のお勧めで、安くておいしい焼き鳥屋さんだ。ここはいつも混んでいて、外まで人が並んでいることは珍しくない。果たして今夜はどうだろうか。
 明菜ちゃんがラッキーガールなのか、丁度一卓空いた所に巡り合せたようだ。僕らは奥のテーブルへと案内された。ここなら二人して腹一杯食べても懐は大丈夫だろう。
 庶民的な雰囲気が二人を和ませてくれたようで、僕の心配を他所に、チューハイと焼き鳥などで話は割りと弾んだ。当たり障りの無い、東京の街の話題だったせいもある。
 東京に住む二人だったら、とてもそんな話題では盛り上がれ無いだろうが、二人とも生粋の千葉県人だから、通りすがりに見て来た丸ビルと、中央郵便局と、東京国際フォーラムの建物だけで、たっぷり五分間は喋ったかも知れない。
 最初の一杯で、アルコールも良い具合に利いて来た。二杯目の乾杯をした後で、遂に避けられない質問タイムがやって来た……
「あの女の人、とても綺麗だったね」
「そうかなぁ」
「智也さんだって見蕩れていたでしょ」
「まあね」
「女優の堀北真希ちゃんに、どこか似ていたんじゃない」
「誰その人、俺知らないなぁ」
「『オールウェイズ 三丁目の夕日』観なかった」
「観たいと思ってたけど、まだ観てないそれ」
「真希ちゃん出てるから観なさいね」
「DVD借りてみるよ」
「フジフィルムのCMにも出てるよ」
「どんなやつ」
「長瀬と樹木稀林がやってるCM」
「あれかぁ」
「もう一人出て来る女の子が、堀北真希ちゃんだよ」
「ダメだ、イメージ浮かばない」
 明菜ちゃんの屈託が無い様子から、ちくりちくりと苛めるつもりが無いことは明白だった。それでも僕は、その話題から遠ざかりたかった。一時僕の名前に話題が逸れ掛かった時は、ほっとしたのだが……
「そう言えば智也さん、長瀬君と同じ名前だね」
「あんなにカッコ良くないけどね、実は漢字も同じ」
「へぇ、そうなんだ!」
 明菜ちゃんはそう答えたきり、急に黙り込んだ。
「どうかした」
「あの人のこと考えてた」
「あの人って」
 そう訊いたが、僕も黙り込みたくなった。嫌な予感だ。
「智也さんの隣だったあの人……なんか気になる」
 自分で蒔いた種だからしょうがない。その話題から逃げることを諦めた。
「どうして。俺があの人観てたから」
「ううん、そういうのじゃなくて……あの人、自分を捨てているような感じがしたの」
「え」
 何故あの人が自分に触れたのか、それだけで頭が一杯になって、そんな風な感じは僕には全く分らなかった。
 今そう言われてみると、普通の人とは全く違った印象を受けたのも事実だが……
「あの人、何故智也さんの手を握ったんだろう」
「知ってたの」
「二回もね」
「見たの」
「まあね。ヒカルちゃんがラストの『光』を歌い始めて、皆スタンディングしてるから、私も立ち上がって手拍子を打ち始めたんだ。智也さん、まだ立たないのかなって、振り返った時見ちゃった」
「あの時も実は、泣いてた」
「みたいだね。ボク驚いたもん」
 明菜ちゃんは思わず自分の口を塞いだ。それでもコンサート会場へ向う車中の様に、感情を取り乱すことはなかった。寧ろさばさばして見えた位だ。
「俺もびっくりした」
「手を握られたから、それとも涙を落としたから」
 明菜ちゃんは意地悪そうな目付きでそう訊いた。
 ボクという呼び名を使った、バツの悪さを隠す為だったのかも知れない。何かトラウマがあるのか。そしてあの人にも……
「両方かな」
 照れ隠しに笑うしかなかった。
「直前までヒカルちゃんに浸り切っていたもんね。びっくりするのも分る気がする」
「結構俺のこと見てくれていたんだ。明菜ちゃん、ひょっとして俺のこと好き」
 思い切って軽口を叩いてみた。軽く流してくれると良いがと、言ってみてから怖れるのは僕の悪い癖だ。
「ううん、どうでしょう」
 明菜ちゃんは首を竦めて笑った。残り少ない中身を飲み干して、
「もう一杯飲んじゃおうかな」とコップを振って見せた。
「俺も負けない」
 僕はほっとした。失点続きなのに、どうして明菜ちゃんはこんなにも優しいのだろう。途端に自分の多情が情けなくなった。今もあの人のことが気になって仕方が無いのだ。こんなに良い娘が僕の傍にいるのに……

 酔いが回ってからの話題は、二人の普段の生活が中心になって、あの人のことには触れられなかった。
 僕の株式投資については、明菜ちゃんもかなりの関心を示したが、自分には絶対できないとも言った。株の世界はリスキー故に、ミステリアスでアダルトな世界に見えるようだ。そこで実績を上げつつある僕に対して、多少とも尊敬みたいなものを明菜ちゃんは感じたに違いない。
 僕自身については、自分を押し付けないで、相手の気持ちを考えてくれる所が好きだとも言ってくれた。
 そんな事を言われた事は初めてだ。こそばゆい気がしたが、僕は澄ましていた。「そういう人は自分の身近に居ないから」とも付け加えたが、明菜ちゃんの目の中に孤独を感じたのは、僕の勘違いでは無いと思う。
 夜道だから送ろうかと云う申し出はあっさりと断られ、二人は午後十一時半頃津田沼駅で別れ、稲毛の最終バスに間に合わなかった僕は、タクシー乗り場の行列に五分ほど並び、千円で銅貨二枚のお釣りが来るメーター料金に、ほっとしながら家に辿り着いた。
 酔ってるし面倒臭いとは思ったが、習慣的に僕はパソコンを立ち上げ、キャベジンさんの「ヒカルの間」へと繋ぎ、ヒカルのコンサートの今日の様子について簡単に書き込んだ。

 翌朝ニューヨーク市場の様子を確認して、日足と週足のチャートを入手した。習慣化している事なのに、この日に限っては億劫に感じた。
 続いて昨日の日経平均および個別チャート三銘柄の日足・週足チャートをダウンロードして、週末特集として「今週のチャート分析と次週の予測」記事を纏めた。
 いつもなら、この位の記事は一時間もあれば書けるのに、二時間以上掛かった。どうしてだろう。何かが心に引っ掛かっている。
 書き上げた記事を自分のブログへ掲載してはみたものの、多少とも手を掛けて書き上げた労作記事を、定期的に読んでくれている人は、コメントとか訪問者数などから判断する限り、多く見積ってみても三、四人程度だろう。
 元々ブログの「株式投資日記」記事は、毎日の株式投資が単調にならないように、他人の目に晒すことで緊張感を保てるように、結局は投資パフォーマンスを向上させる為、つまりは己自身の為に書いているのだから、読者数が増えないことなど問題では無かった筈だ。それでもこの日は、少数の読者の為に、何故毎朝毎夕と書き続けなければならないのかと云う、見当違いも甚だしい被害者意識に苛まれた。
 一方で、もう一つの「自作小説のコーナー」には、拙い短編小説一編だけがぽつんと掲載されている。ブログなんて辞めてしまおうかと思いつつも、僕は身に染み付いた習慣から容易に抜け出せず、コメントを交換する為知人友人のブログを回遊する。
 株式のデイトレードに取組んでいる、シュン君のブログタイトルは凄まじい。「死亡遊戯」だ。プライバシーがあるから詳しくは話せないが、本業を休職してまでやっているのだから、文字通りなのかも知れない。
 彼を自分勝手に同志だと思っているが、株で身を立てようとしていることは同じだから、同志で間違い無い筈だ。彼の投資手法は僕なんかと違って、新興市場の銘柄を毎日多数取引していて、その殆どは僕の知らない会社だ。それでも彼が儲けているのを見ると、自分の成功も近いと信じることができて嬉しい。
 シュン君の昨日の投資成績も悪くない。僕は一つコメントを入れてみた。
 読書好きな女の人がやっているブログを最近見つけた。そこへも遊びに行くようになった。
 彼女は小さな子供が二人居る若い主婦で、読書幅が広く片寄らないので、レビューはかなり参考になる。★★★




++++++++以下次回へと続く+++++++++





テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学


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