脳空間自由飛行
★メインはオリジナル小説(※著作権留保)の掲載... ★観月ありさ、宇多田ヒカル、マリア・シャラポワ、蒼井優、上戸彩、堀北真希、菊川怜、サトエリ、浜田翔子、眞鍋かをり、映画TVドラマ ★小説の読みたい回を探すには「ブログ内検索」が便利です!
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かづしげ

Author:かづしげ
★★★「君という光」連載中. 
★長編『アミーカ』 :"R18指定" 18歳になった夏樹は家出して風俗業界に飛び込んだ…
★長編『黒い美学』 :近未来SFアクション. on line RPGで大事件発生!
★短編『10年目の花火』
★長編『ドロップ』 :新人文学賞をめぐるミステリー



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オリジナル恋愛小説「君という光が」第10回ー長編全70〜90回程度
[第10回…その前に第9回までのあらすじ]
 ヒカルファンサイトのブロガーの大阪公演レポートに感激した僕は、ヤフオクで埼玉公演のペアチケットを入手した。バイト先の中島さんをコンサートへ誘ってみると、2日目の金曜日ならOKとの返事を得た。
 初日分の8/17木曜日は一人で『さいたまスーパーアリーナ』へ出掛けることにしたが、会場に着くまでのアクシデントの連続で運命変化の予兆を感じた。しかもコンサートではヒカルの喉に変調が生じたのだ。変調を補うほど感情伝達は素晴らしかったが、翌日のヒカルが心配でならなかった。
 2日目は中島明菜ちゃんと待ち合わせた電車が人身事故の影響で運休となった。行く途中二人の会話は、弾んだりぎくしゃくしたりしながらも僅かに進展した。
 300レベルの観覧席は明菜ちゃんを十分に満足させたようだが、遅れて来た隣のカップルの男がヒカル批判を声高に喋るので口を塞いでやりたくなった。
 ヒカルはチェロとの共演で上がるべき音を下げてしまい「2分間の中断事件」を起した! ステージに戻ったヒカルは奇跡の復活を遂げたが、フィナーレの「光」の時右側の女が僕の手に触れた。女のことが気になり過ぎて、明菜ちゃんの気分を害したかも知れない。帰り道では沈黙が続いたが、彼女が僕とあの男のケンカを怖れていたことが分った……



++++++++++これより本編+++++++++++



[ 「あの女の人は先に行っちゃったから、男はあの人の行方を気にしながら、バカヤローとか言ってすぐ追い掛けて行った。私ほっとしたんだよ。でも凄い顔付きだった」
 明菜ちゃんは白っぽい顔をしている。思い出してまた怖くなったみたいだ。★★★]

 すると僕は、ヒカルに感動して泣いている間、男の罵声も知らず俯いていたのか……あんな奴が怖くて、顔を上げられない臆病者のように。
「こ、怖かったんじゃないよ。ぜ、全然気が付かなかった」
 しどろもどろな言い方になった。びびっていたことを認めたみたいだ。
「良かったぁ」
 意外な言葉が返って来た。
「どうして」
「ううん、何でもない」
 それきり明菜ちゃんは口を閉じた。
 電車は東京駅に近付いて行く。腕時計を見ると、午後九時半を回ったばかり。
「東京駅で総武線に乗り換える? もし良かったら……」
 自信の無い僕はそこで言葉を切った。
 明菜ちゃんの返事は容易に予想できた……
『もう遅いからまっすぐ総武線で帰ろうよ』
 そして僕らは沈黙の旅客となって、明菜ちゃんは途中の津田沼駅で降り、僕は一つ先の稲毛で降りて、明日から二人はただの同僚に戻り、松尾君に対する笑顔よりも、さらに他人行儀で冷ややかな笑顔を目にしながら、僕も曖昧な笑顔を返すだけ。そんなやりきれない毎日が必然的にやって来るのだろう。
「もし良かったらって」
 予想とは違って、明菜ちゃんは言葉の続きを要求した。その目には、怒りとか、からかいなど微塵も無さそうだ。
「もし良かったら、東京駅で降りて有楽町の方へ歩いてみない。安くておいしそうな店が幾つも並んでるんだけど……ホント、もし明菜ちゃんが良かったらだけどね」
「良いよ。おいしいものおごってね。割り勘でも良いけど」
「勿論おごるよ! 明菜ちゃん焼酎とか飲める?」
「お酒飲んだら、色々訊いちゃうかも知れないけどね」
 明菜ちゃんはにっこりと笑った。
 明菜ちゃんは本当に怒ってないのだろうか。この先の展開が少しだけ怖かった。

 東京駅丸の内側へ降りた僕たちは、煌々と灯りの点る丸ビルを正面に見た。明菜ちゃんが指差して、声を上げた位綺麗だったが、そこで飲食する予算は僕には無い。
 予定通り二人は、左手の山手線線路沿いの歩道を、有楽町へ向って歩く。通りの向かい側には中央郵便局が見え、その先に見慣れないビルがある。この辺も来る度に新しい建物が増えている。
 そのビルの左角が丁度交差点で、新ビル入口前にはレストラン群のサインポールが見えた。どれも高そうだなと一瞥をくれながら、信号を右には折れず直進した。
 交差点を渡った所からは、鉄道高架下を利用した、小さな飲食店がずらりと軒を並べており、通りを挟んだ反対側が東京国際フォーラムだ。総ガラス張りの巨大な吹抜け空間を擁する、あの艦船型ビルが聳えているのだ。おもしろい取合せじゃないか。
 飲食店街の一軒目が僕のお勧めで、安くておいしい焼き鳥屋さんだ。ここはいつも混んでいて、外まで人が並んでいることは珍しくない。果たして今夜はどうだろうか。
 明菜ちゃんがラッキーガールなのか、丁度一卓空いた所に巡り合せたようだ。僕らは奥のテーブルへと案内された。ここなら二人して腹一杯食べても懐は大丈夫だろう。
 庶民的な雰囲気が二人を和ませてくれたようで、僕の心配を他所に、チューハイと焼き鳥などで話は割りと弾んだ。当たり障りの無い、東京の街の話題だったせいもある。
 東京に住む二人だったら、とてもそんな話題では盛り上がれ無いだろうが、二人とも生粋の千葉県人だから、通りすがりに見て来た丸ビルと、中央郵便局と、東京国際フォーラムの建物だけで、たっぷり五分間は喋ったかも知れない。
 最初の一杯で、アルコールも良い具合に利いて来た。二杯目の乾杯をした後で、遂に避けられない質問タイムがやって来た……
「あの女の人、とても綺麗だったね」
「そうかなぁ」
「智也さんだって見蕩れていたでしょ」
「まあね」
「女優の堀北真希ちゃんに、どこか似ていたんじゃない」
「誰その人、俺知らないなぁ」
「『オールウェイズ 三丁目の夕日』観なかった」
「観たいと思ってたけど、まだ観てないそれ」
「真希ちゃん出てるから観なさいね」
「DVD借りてみるよ」
「フジフィルムのCMにも出てるよ」
「どんなやつ」
「長瀬と樹木稀林がやってるCM」
「あれかぁ」
「もう一人出て来る女の子が、堀北真希ちゃんだよ」
「ダメだ、イメージ浮かばない」
 明菜ちゃんの屈託が無い様子から、ちくりちくりと苛めるつもりが無いことは明白だった。それでも僕は、その話題から遠ざかりたかった。一時僕の名前に話題が逸れ掛かった時は、ほっとしたのだが……
「そう言えば智也さん、長瀬君と同じ名前だね」
「あんなにカッコ良くないけどね、実は漢字も同じ」
「へぇ、そうなんだ!」
 明菜ちゃんはそう答えたきり、急に黙り込んだ。
「どうかした」
「あの人のこと考えてた」
「あの人って」
 そう訊いたが、僕も黙り込みたくなった。嫌な予感だ。
「智也さんの隣だったあの人……なんか気になる」
 自分で蒔いた種だからしょうがない。その話題から逃げることを諦めた。
「どうして。俺があの人観てたから」
「ううん、そういうのじゃなくて……あの人、自分を捨てているような感じがしたの」
「え」
 何故あの人が自分に触れたのか、それだけで頭が一杯になって、そんな風な感じは僕には全く分らなかった。
 今そう言われてみると、普通の人とは全く違った印象を受けたのも事実だが……
「あの人、何故智也さんの手を握ったんだろう」
「知ってたの」
「二回もね」
「見たの」
「まあね。ヒカルちゃんがラストの『光』を歌い始めて、皆スタンディングしてるから、私も立ち上がって手拍子を打ち始めたんだ。智也さん、まだ立たないのかなって、振り返った時見ちゃった」
「あの時も実は、泣いてた」
「みたいだね。ボク驚いたもん」
 明菜ちゃんは思わず自分の口を塞いだ。それでもコンサート会場へ向う車中の様に、感情を取り乱すことはなかった。寧ろさばさばして見えた位だ。
「俺もびっくりした」
「手を握られたから、それとも涙を落としたから」
 明菜ちゃんは意地悪そうな目付きでそう訊いた。
 ボクという呼び名を使った、バツの悪さを隠す為だったのかも知れない。何かトラウマがあるのか。そしてあの人にも……
「両方かな」
 照れ隠しに笑うしかなかった。
「直前までヒカルちゃんに浸り切っていたもんね。びっくりするのも分る気がする」
「結構俺のこと見てくれていたんだ。明菜ちゃん、ひょっとして俺のこと好き」
 思い切って軽口を叩いてみた。軽く流してくれると良いがと、言ってみてから怖れるのは僕の悪い癖だ。
「ううん、どうでしょう」
 明菜ちゃんは首を竦めて笑った。残り少ない中身を飲み干して、
「もう一杯飲んじゃおうかな」とコップを振って見せた。
「俺も負けない」
 僕はほっとした。失点続きなのに、どうして明菜ちゃんはこんなにも優しいのだろう。途端に自分の多情が情けなくなった。今もあの人のことが気になって仕方が無いのだ。こんなに良い娘が僕の傍にいるのに……

 酔いが回ってからの話題は、二人の普段の生活が中心になって、あの人のことには触れられなかった。
 僕の株式投資については、明菜ちゃんもかなりの関心を示したが、自分には絶対できないとも言った。株の世界はリスキー故に、ミステリアスでアダルトな世界に見えるようだ。そこで実績を上げつつある僕に対して、多少とも尊敬みたいなものを明菜ちゃんは感じたに違いない。
 僕自身については、自分を押し付けないで、相手の気持ちを考えてくれる所が好きだとも言ってくれた。
 そんな事を言われた事は初めてだ。こそばゆい気がしたが、僕は澄ましていた。「そういう人は自分の身近に居ないから」とも付け加えたが、明菜ちゃんの目の中に孤独を感じたのは、僕の勘違いでは無いと思う。
 夜道だから送ろうかと云う申し出はあっさりと断られ、二人は午後十一時半頃津田沼駅で別れ、稲毛の最終バスに間に合わなかった僕は、タクシー乗り場の行列に五分ほど並び、千円で銅貨二枚のお釣りが来るメーター料金に、ほっとしながら家に辿り着いた。
 酔ってるし面倒臭いとは思ったが、習慣的に僕はパソコンを立ち上げ、キャベジンさんの「ヒカルの間」へと繋ぎ、ヒカルのコンサートの今日の様子について簡単に書き込んだ。

 翌朝ニューヨーク市場の様子を確認して、日足と週足のチャートを入手した。習慣化している事なのに、この日に限っては億劫に感じた。
 続いて昨日の日経平均および個別チャート三銘柄の日足・週足チャートをダウンロードして、週末特集として「今週のチャート分析と次週の予測」記事を纏めた。
 いつもなら、この位の記事は一時間もあれば書けるのに、二時間以上掛かった。どうしてだろう。何かが心に引っ掛かっている。
 書き上げた記事を自分のブログへ掲載してはみたものの、多少とも手を掛けて書き上げた労作記事を、定期的に読んでくれている人は、コメントとか訪問者数などから判断する限り、多く見積ってみても三、四人程度だろう。
 元々ブログの「株式投資日記」記事は、毎日の株式投資が単調にならないように、他人の目に晒すことで緊張感を保てるように、結局は投資パフォーマンスを向上させる為、つまりは己自身の為に書いているのだから、読者数が増えないことなど問題では無かった筈だ。それでもこの日は、少数の読者の為に、何故毎朝毎夕と書き続けなければならないのかと云う、見当違いも甚だしい被害者意識に苛まれた。
 一方で、もう一つの「自作小説のコーナー」には、拙い短編小説一編だけがぽつんと掲載されている。ブログなんて辞めてしまおうかと思いつつも、僕は身に染み付いた習慣から容易に抜け出せず、コメントを交換する為知人友人のブログを回遊する。
 株式のデイトレードに取組んでいる、シュン君のブログタイトルは凄まじい。「死亡遊戯」だ。プライバシーがあるから詳しくは話せないが、本業を休職してまでやっているのだから、文字通りなのかも知れない。
 彼を自分勝手に同志だと思っているが、株で身を立てようとしていることは同じだから、同志で間違い無い筈だ。彼の投資手法は僕なんかと違って、新興市場の銘柄を毎日多数取引していて、その殆どは僕の知らない会社だ。それでも彼が儲けているのを見ると、自分の成功も近いと信じることができて嬉しい。
 シュン君の昨日の投資成績も悪くない。僕は一つコメントを入れてみた。
 読書好きな女の人がやっているブログを最近見つけた。そこへも遊びに行くようになった。
 彼女は小さな子供が二人居る若い主婦で、読書幅が広く片寄らないので、レビューはかなり参考になる。★★★




++++++++以下次回へと続く+++++++++





テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

浜田翔子Magazine 11/30Fri
No.32 [hs622~624;hs743~745] (今夜はハマショーの『夜遊びメールバトル 金曜』ですよ!)
『浜田翔子』…通称ハマショー。

マルチタレント、京都府出身、Birthday:1986.1.1, 21歳、動物占いはチータ、157cm、
 レースクィーン、グラビア、写真集、イメージDVD、Vシネマなどで活躍中。アバンギャルド所属タレント。
 2006年に映画主演とCDデビューも果たした。バラエティなどTV出演も増えている。今年からは新宿ルミネで吉本新喜劇にも出演中! 2007年10月ファーストCDアルバム発売!


 毎週金曜日の深夜、正確には土曜日の午前0時から朝5時までインターネットTV「あっとおどろく放送局」の
『夜遊びメールバトル 金曜』[←クリック&ジャンプ]に出演中。
 午前1時台の1時間だけは別の番組が挟まりますが、正味4時間近くあなたのメールなどを読んだりして、ずっとおしゃべりしてくれますよ!

●サムネール写真をクリックすると大きくなります。その大きな写真の右下辺りをポイントして拡大マークが出る時はさらに大きくなります。
※掲載した写真については、著作権などを有する方から警告があれば、直ちに削除する用意があります。

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テーマ:浜田翔子 - ジャンル:アイドル・芸能

映画TVドラマ音楽DVDレビュー「ジャーヘッド」
ジャーヘッド (2005年 / アメリカ )
■ 戦争は人それぞれ ★★★ 
「戦争は人それぞれ」と云う引上げのバスの中で流れた言葉が印象的だった。
 パパブッシュも今のブッシュも最高指導者は安易に戦争を開始するが、戦場の兵士は恐怖におののく、最前線に立たされていなくともそれは同じだ。狂気が生じるのは恐怖から逃れる生命保存本能のなせる業か。
 実弾使用訓練で事故が起きた時、リーダーの悲しみも仲間の悲しみも良く伝わった。彼らは結果とは別にやはり誰もが命を賭けていた。恒久的に平和な世の中が訪れる奇跡を信じたい。
 ブロークバックマウンテンのジェイク・ギレンフォールは単純に良かった(←もっと別の言いようがないのか!(爆))


●専門的な観方はできませんので、観た感想や印象をフラットに書いております。レビューで興味を持った作品があれば是非観てほしいし、異なる感想をお持ちであれば是非コメントしてみて下さい。
[★レンタル可能DVDが主たるレビュー対象です]
●私なりに評価を付けてみました。最高は★5個。今観ておもしろいかと云う視点で評価していますので名作でも★が少なくなる場合があります。TVドラマは映画よりも甘目に★をつけています。
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テーマ:洋画 - ジャンル:映画

蒼井優Magazine 11/29Thu
 No.34 [ay692~696]

女優、Birthday:1985.8.17, 22歳、動物占いは狼、A型、出身地福岡県、160cm、趣味:ミュージカル鑑賞、ビデオ鑑賞、空鑑賞。特技:クラシックバレエ(2歳から継続中)、タップダンス、ピアノ。


●サムネール写真をクリックすると大きくなります。その大きな写真の右下辺りをポイントして拡大マークが出る時はさらに大きくなります。
※掲載した写真については、著作権などを有する方から警告があれば、直ちに削除する用意があります。

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テーマ:蒼井優 - ジャンル:アイドル・芸能

オリジナル恋愛小説「君という光が」第9回ー長編全70〜90回程度
[第9回…その前に第8回までのあらすじ]
 ヒカルファンサイトのブロガーの大阪公演レポートに感激した僕は、ヤフオクで埼玉公演のペアチケットを入札し、バイト先の中島さんをコンサートへ誘ってみようと決意した。
 金曜日の約束を取り付けて、保険の意味で二日分買った8/17木曜日の分は、一人で『さいたまスーパーアリーナ』まで出掛けることにした。
 その日の午後は会場に着くまでアクシデントの連続で、運命変化の始まりを予感した。
 さいたま初日のコンサートではヒカルの喉に変調があったが、感情伝達は素晴らしかった。二日目のヒカルのことが胸に突き刺さる棘となった。
 翌日中島明菜ちゃんと待ち合わせた、午後17時3分の電車は人身事故の影響で運休となる。昨日起きた僕の運命変化はまだ続いているようだ。どうにか次の電車で会った二人の会話は、弾んだりぎくしゃくしたりしながら幾らか進展した。
 300レベルの観覧席は明菜ちゃんを十分に満足させたようだが、遅れて来た隣のカップルの男が無遠慮に喋るので口を塞いでやりたくなった。
 ヒカルはチェロとの共演コーナーで、到頭上がるべき音を下げるという大不調を晒し、2分間の中断事件が発生した! ステージに戻ったヒカルは懐かしいヒットナンバー3曲を見事に歌い上げた。このまま最後まで行って欲しいと願うばかりだ……



++++++++++これより本編+++++++++++



[ 短いMCに続いて中期の作品「Letters」……詩の内容からすれば、決して明るくはなく鬱々としているのだが、良い感じのノリで、手拍子など客の反応は凄かった。知らず知らずヒカルと一緒に口ずさんでいた。★★★ ]

 仮締めのラストナンバーは、リズミカルで超庶民的な最新ヒットナンバー「Keep Tryin'」これで乗れなきゃおかしいって! 「帝国の逆襲」も「ジェダイの復讐」も真っ青。これぞ「ヒカルの大逆襲!」
「♪挑戦者のみもらえるご褒美欲しいの♪」
「♪ちょっと遅刻した朝もここから頑張ろうよ♪ ♪何度でも期待するのバカみたいなんかじゃない だからKeep Tryin'♪」
「♪クールなポーズ決めながら実を言うと戦ってた♪」
 これらのフレーズ一つ一つが今のヒカルだった。詩はヒカル自身と等身大に重なりつつ、パワーを増幅反射して、遠赤外線が肉体のの芯から温めるように、遥か深く僕の心の芯を熱くした。
 それでも、続くフレーズの
「♪大切な命 とっても気にしぃなあなたは少し休みなさい♪」は、十数分前までの、僕のヒカルに対する気持ちそのままだったが、その中の「気にしぃなあなた」は、僕になら当て嵌まったとしても、負けず嫌いのヒカルに当て嵌まる筈が無かった。結果から見ればそれで良かったのだろう。ヒカルの喉がここまでは無事で、復活と逆襲を見事になし遂げたのだから。
 「お値段を付けられない」全ての人に宛てられた「情熱」のメッセージを、全身全霊で受け止めながら、大観衆はヒカルに乗せられ酔い痴れた。
 歌い終えたヒカルに対し、天井から十筋ものスポットライトが、イエスの復活を祝福する後光の如く降り注ぐ。
 ヒカルはマイクに両手を添え、観客に対し深々とお辞儀をして、ステージ中央奥へと去って行った。
 会場全体の光が落ちて真っ暗になった。
 一旦は静まった会場の一部から、小さな拍手が起きた。それは波紋の様に静かに広がり始め、次第にリズムを伴った波となって全体に行き渡った。
 みんなの不安や心配は、ヒカル自身の復活のベストパフォーマンスによって吹き払われていた。僕もアンコールを要求する拍手に加わった。
 一旦は存在を疑ったが、神は信じる者の前に光臨したのかも知れない。都合の良い時だけ祈る者達に対して、なんと寛容な御意思だろうか。
 自己の思いに浸り切っていた僕は、自由なお喋りが許される、ヒカル再登場までの数分間も、左側に払うべき注意を忘れていた。僕は未熟な男だ。
「あ! 出て来た!」
 先ほどと同じ言葉が聞こえた時も、明菜ちゃんを振り向かず正面に顔を起した。
 ステージ中央奥からバンドメンが出て来た。足取りは皆軽やかだ。最後にヒカルが顔を見せた。
 纏っただけに見えるピンク色のトップス。黒いリボンが僅かにあしらわれている。ボトムスは、ブルーの袴風スカートでブーツはそれまでと同じ。
 衣装だけじゃなく、表情もすっきりと明るい笑顔になっていた。やり遂げた満足感で輝いている。復活の祝福を受けた神々しさを、ヒカルに感じたのは僕だけだろうか。
「みんな呼んでくれてありがとう〜! やっぱりこの歌を歌わなきゃステージを降りられないよね。デビューソングで、いつまでも私にとって大切な曲『オートマチック』聴いて下さい」
 前奏が流れ始めた途端、じんと痺れて熱くなった。この歌には不思議な力があるらしい。
「♪七回目のベルで受話器を取った君〜 名前を言わなくても声ですぐ分ってくれる♪」
 当時、僕は近所の書店で立ち読みしていた。流れて来たメロディに耳を傾けた。斬新で親近感のあるフレーズに聞き入った。初めて聴いた時から良い歌だった。それが八年近く経った今でも変わらずに最高なのだ。懐かしいメロディを聖水の様に注ぎ続けられ、様々な不純物を洗い流されて次第に無垢になって行く。
 今でも特別なオートマチックを歌い終え、大声援を贈られたヒカルは、明るくなったステージ上で、短いMCを挟んでからバンド紹介を始めた。
 最後にギターの今さんを紹介した時、既にお馴染みの仕草なのか、影絵のキツネの指先ポーズで「コン、コン」と言いながら、二人で指先チュッチュをして会場を癒してくれた。
 歌っている時は肉眼で見ていたが、リラックスしたヒカルの表情は双眼鏡でしっかりと捉えた。
「素晴らしいお客様が、ここ埼玉に集まって一つになって、とても素敵なコンサートになったこと。考えてみれば奇跡的なことだと思うけれど……奇跡は永遠には続きません! 次が正真正銘のラストナンバー『光』です」
 会場全体からお約束通り「え〜!」と云うブーイングが発せられる。みんながみんな満足感に浸っているようだ。確認するように全体を見渡したヒカルは言葉を継いだ。
「『光』は自分の名前をタイトルにした最も好きな歌です」
 ステージは歌のタイトル通り光に満ち溢れ、ボーカルと演奏が同時に始まった。僕は双眼鏡を膝の上にそっと置いた。
「♪どんな時だって たった一人で 運命忘れて 生きてきたのに 突然の光の中、目が覚める 真夜中に♪」
 ラストフレーズの「真夜中に」で、切ない声の響きを断ち切って、全ての音が止まる。
 短い『間』によって行き先を持たぬ奔流が、堰き止められてできた感情の池は、次のフレーズと共に川幅を拡げ、方向を定めてゆったりと流れ出して行く。
 なんて良く出来た旋律構成なんだろう。音と言葉の流れに乗っかって、僕の感情も次第に高まって行く。
「♪きっとうまくいくよ♪」
 このフレーズでまたじんと来る。体内にも体外にも温かいものを感じていた。正体は分らないが、何か伝わって来るのが分る。不思議な気分だ。
「♪どんな時だって側にいるから 君という光が私を見つける♪」
 その時体外に感じた温熱の正体に気が付いた。熱源の軽い重みすら感じる。
 右を振り向くと、僕の手の上に、ほっそりとした手が重ねられている。若い女性の手だ。水滴が落ちた。うかつにも僕は瞼に貯めていた涙を零したようだ。
 濡らしてしまった手を見詰め、僕は恐る恐る視線を上げた。その人は涙で濡れた辺りを見詰めていた。僕は固まった。
 その人は顔を上げた。薄暗がりの中で、二組の目の焦点が交差して行く。
 光に満ちた目……ステージの光の反射のせいか。
 大きな目は瞬きを数回繰り返した。僕の右手から重みが消えて、その人は不意に立ち上がった。右手には温かみが残った。
 どうして僕なんかの手に触れたのか……
 見られたい、光に満ちた目で……
 その人の立ち姿に見蕩れていた。ほっそりとした体形、色が多過ぎる個性的な服。声を思い出そうとしたがダメだった。連れの男の声は嫌と云う程聞こえたのに、その人の声は一度も聴いた事が無かった。
 ステージに目を戻すと、手を大きく振って歌うヒカルが見えた。熱唱と万雷の手拍子が耳に響く。異世界にワープしていた聴覚が今戻って来たようだ。
 ステージも客席もフィナーレで燃えている。全体が一つになるべき最高の時間帯だ。僕は膝にあった双眼鏡をテーブルに置き、そっと立ち上がった。
 僕の左側で明菜ちゃんは、首をリズミカルに揺らしながら手拍子を打っていた。
 その人は僕の右隣でヒカルを真っ直ぐに見詰めている。右手に熱い感触を感じた。反射的に手を引っ込め掛けた僕は、強く意識して止めた。熱いと感じたのは錯覚だったか、今右手にあるのは、冷たくて柔らかい感触だ。
 右を向くと、その人も顔をこちらに向けた。
 微笑んでいた。大人っぽさと幼さがミックスした、小さ目の顔に強く惹かれたが、目の光度は落ちていた。
 手に取られた僕の右手が、肩まで引き上げられてから離された。その人は横顔に戻り「光」に合わせて手拍子を打ち始めた。僕にもそうしろと言うことだろう。
 僕は素早くリズムを図って、遅ればせながら全員参加の手拍子に加わった。遠くのヒカルを見詰めながら、一緒に「光」を口ずさむと全体の一部になった気がした。
 時折僕は右を気にしたが、その人は二度と僕を振り返らなかったし、連れの男の妙な視線と、左からも視線を感じたので、ヒカルだけに集中することにした。
 ヒカルと一体になるべき大事な時間帯に、僕は何をやっているんだ!
 漸くヒカルに集中できた。アリーナに満たされた熱気に浴されて、ヒカルと一体になって、自分が消えて行くようだ……既に「光」の終わり近くになっていた。
 フィナーレまでヒカルが歌い切って、肉眼で見える筈の無い満面の笑みを見つけた時、僕はまた不覚にも泣いていた。
 バンドメンが全てステージを去った後、ヒカルは最後に一礼すると、颯爽として奥へ消えた。

 ヒカルが去った後も、暫く瞼を潤していた僕は、明菜ちゃんに促されて帰り支度を始めた。
 右隣のカップルは疾うに帰ったようだ。
 左側のカップル達も帰り支度を終えていて、僕達が席を立つのを待っている。
 気まずい雰囲気の中で僕は席を立ち、明菜ちゃんと肩を並べて通路を歩いて行く。
 雨の降らない300レベルからの帰り道は、昨日と較べてかなり楽だったし、ヒカルの心配をする必要が無い分、気も楽な筈だったのに、僕達は僅かな会話さえままならず、ただ歩いていた。
 それもその筈だ。明菜ちゃんをラスト三十分間ずっとほって置いたのだから。僕から謝罪しなければ、二人の会話など始まる訳が無かった。明菜ちゃんはそれを待っているのかも知れない。
 そんなことすら思い付かなかった僕は、どうしようもなく未熟な男だ。その上、この状況に至っても僕はあの人のことを考えている。ずっと交際したかった相手は、直ぐ隣に居る明菜ちゃんではなかったのか!
 自分自身に腹が立ってたまらなかった。デートに誘った明菜ちゃんが隣に居るのに、ヒカルに没頭して一人ぼっちにしておいたばかりか、最後には見知らぬ女に心を奪われているんだから救いようが無い。こんな奴に、彼女居ない歴を断ち切る資格なんて無いのだろう。
 奇跡的なヒカルの大逆襲を目にしたというのに、その喜びどころか、今や迷える子羊、路頭に迷うホームレス、行き先も帰る家も見失った伝書鳩の如きで、自分自身が情けなくて、明菜ちゃんに掛けるべき言葉の一つさえも全く思い付かなかった。
 何のプランも無く駅のホームに辿り着いた僕たちは、間も無くやって来た東京方面行きの電車に乗り込んだ。
 コンサート終了後、直行して来た割には、さほど混雑してない車内で、出入り口とは反対側のドアへもたれ掛かると、明菜ちゃんと目を合わす形になった。何か言わなければならない……
「明菜ちゃん、ごめん」
 明菜ちゃんは僕の目を見たが、何も言わなかった。
 僕は別の言葉を思い付かず、もう一度同じセリフを繰り返した。長い間が開いたが、今度は彼女も口を開いた。
「ヒカルちゃん達がステージ奥へ消えた後も、智也さん暫く顔を上げなかったね」
 僕はただ頷いた。
「泣いてたの」
 再び小さく頷いた。
「あの人の連れの男、ずっと智也さんを睨みつけてたんだよ。私怖かった」
 コンサートの終盤、ずっとほっておいたことで、怒っているものとばかり思っていた僕は、明菜ちゃんが何を言ってるのか暫く意味が分らなかった。
 漸く「あの人」の意味する所を知り、その連れの男がとった態度に思い当たった。
 ぼんやりと見ていると、明菜ちゃんは、僕が男のことを訊きたいと思ったようだ。一方で僕は顔を赤らめてないかと心配だった。
「あの女の人は先に行っちゃったから、男はあの人の行方を気にしながら、バカヤローとか言ってすぐ追い掛けて行った。私ほっとしたんだよ。でも凄い顔付きだった」
 明菜ちゃんは白っぽい顔をしている。思い出してまた怖くなったみたいだ。★★★




++++++++以下次回へと続く+++++++++




テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

上戸彩Magazine 11/28Wed
 No.40 [ua665~669]

女優・歌手、Birthday:1985.9.14, 22歳、東京都出身、動物占いは黒ひょう、乙女座、O型、162cm、趣味はテニスと料理。


●サムネール写真をクリックすると大きくなります。その大きな写真の右下辺りをポイントして拡大マークが出る時はさらに大きくなります。
 波打っていたり裏が透けていたりして見苦しい写真の多くは、少年誌など薄くて質が悪い紙面に掲載されたものだと思います。
※掲載した写真については、著作権などを有する方から警告があれば、直ちに削除する用意があります。

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テーマ:上戸彩 - ジャンル:アイドル・芸能

宇多田ヒカルMagazine 11/27Tue
 No.36 [uh617~621]

歌手(シンガーソングライター)、Birthday:1983.1.19, 24歳、動物占いは黒ひょう、A型、158cm、ニューヨーク州出身、趣味は読書、特技:パソコンの早打ち、テトリス、我慢、人の考えを読むこと。


●サムネール写真をクリックすると大きくなります。その大きな写真の右下辺りをポイントして拡大マークが出る時はさらに大きくなります。
※掲載した写真については、著作権などを有する方から警告があれば、直ちに削除する用意があります。

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テーマ:宇多田ヒカル - ジャンル:音楽

堀北真希Magazine 11/26Mon
 No.35 [hm592~596]

女優、Birthday:1988.10.6, 19歳、動物占いはゾウ、てんびん座、B型、160cm、出身地東京、特技ピアノ。


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観月ありさ CDアルバム『innocence』special No.3(全3回)
観月ありさ CDアルバム『innocence』special No.3(全3回)

★★★CDアルバム『innocence』のミニ写真集付き歌詞カードより2倍サイズで★★★
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テーマ:観月ありさ - ジャンル:アイドル・芸能

観月ありさMagazine 11/25Sun
 No.75 [ma876~880]

女優・歌手・モデル。東京都出身、Birthday:1976.12.5, 30歳、動物占いはペガサス、いて座、A型、170cm


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Maria Sharapova=マリア・シャラポワ [2005 ウィンブルドン] No.3 Sun
Maria Sharapova=マリア・シャラポワ [2005 ウィンブルドン] No.3 Sun

 2005年6月〜7月Wimbledon= ウィンブルドンのマリア 第3弾! (戦績:last 4 当時18歳)
■Birthday:1987.4.19, 188cm59kg
■ウィンブルドン優勝1回(2004年17歳2ヶ月)、USオープン優勝1回(2006年)
・2001年4月19日14歳の誕生日にWTAツアーにデビュー
・2002年ITF群馬大会でプロ初優勝(当時14歳か15歳)
・2003年AIGジャパン・オープンでシングルスとダブルスでWTAツアー初優勝(当時15歳か16歳)
wimbledon2005021~2005030


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テーマ:テニス - ジャンル:スポーツ

観月ありさ CDアルバム『innocence』special No.2(全3回)
観月ありさ CDアルバム『innocence』special No.2(全3回)

★★★CDアルバム『innocence』のミニ写真集付き歌詞カードより2倍サイズで★★★
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観月ありさMagazine 11/24Sat
 No.74 [ma870~875]

女優・歌手・モデル。東京都出身、Birthday:1976.12.5, 30歳、動物占いはペガサス、いて座、A型、170cm


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Maria Sharapova=マリア・シャラポワ [2005 ウィンブルドン] No.2 Sat
 2005年6月〜7月Wimbledon= ウィンブルドンのマリア 第2弾! (戦績:last 4 当時18歳)
■Birthday:1987.4.19, 188cm59kg
■ウィンブルドン優勝1回(2004年17歳2ヶ月)、USオープン優勝1回(2006年)
・2001年4月19日14歳の誕生日にWTAツアーにデビュー
・2002年ITF群馬大会でプロ初優勝(当時14歳か15歳)
・2003年AIGジャパン・オープンでシングルスとダブルスでWTAツアー初優勝(当時15歳か16歳)
wimbledon2005011~2005020


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テーマ:テニス - ジャンル:スポーツ

オリジナル恋愛小説「君という光が」第8回ー長編全70〜90回程度
[第8回…その前に第7回までのあらすじ]
 ヒカルのコンサートで起きた、その人との奇跡的な邂逅を僕は忘れない…

 その数日前までヒカルのコンサートへ二日続きで行くことになろうなんて、僕は想像すらしていなかったが切っ掛けはヒカルのファンサイトを運営しているブロガーの大阪公演レポートだった。ヤフオクで埼玉公演のペアチケットを入札し、バイト先の中島さんをコンサートへ誘ってみようとまで僕は決意した。
 どうにか金曜日の約束を取り付けて、保険の意味で二日分買った8/17木曜日の分は、一人で『さいたまスーパーアリーナ』まで出掛けることにしたが、家を出る直前父から書類を事務所まで届けてくれと電話があった。かつて僕が勤めていたあまり良い思い出が無い事務所だ。

 (回想)

 事務所の帰り際、古株古参の高橋女史から事務所の経営不安に関する話を聴いた。
 上野駅で乗り換えようとした高崎線の落雷事故といい、アナウンス誘導された乗車未経験の宇都宮線におけるグリーン車事件(それほどのものでもないか)といい、会場に着くまでに様々なことが起こり続け、運命を操る神に翻弄されているような気がした。
 さいたま初日のコンサートではスタートから全開のヒカルに喉の変調が起こり、4曲目から超低音域と超高音域の声が掠れ出した。声の不調を十分過ぎるほど補った感情伝達はさすがに素晴らしかったが、二日目のコンサートに望むヒカルのことが胸に突き刺さる棘となった。
 翌日の午前11時過ぎに中島さんと約束した二日目のチケットが無事配達された。所が二人が待ち合わせた午後17時3分の車両にまたもトラブル発生、人身事故で運休となる。昨日突然起きた僕の運命変化はまだ続いているようだ。
 ともあれ次の電車で二人は落ち合い、東京駅で乗り換えた京浜東北線の前半までは話も弾み順調だったが、ちょっとした切っ掛けでぎくしゃくしたり、彼女居ない歴が長い僕には女の子の気持ちを理解するのは株式投資よりも難しい。
 スポーツイベントではスィートシートに当る300レベルの観覧席は、明菜ちゃんを十分に満足させたようだが、少し遅れて来た隣のカップルの男が無遠慮に喋るので口を塞いでやりたくなった。
 今夜のヒカルは1曲目、3曲目は好調だったが、既に2曲目で声が前に出て来ない状況だ。第2部トータル5曲目の「SAKURAドロップス」では、明菜ちゃんまで心配する位調子が悪かったが、6曲目や7曲目「First Love」でも魂が根こそぎ揺さぶられるほど伝わるものがあった。それなのに二つ隣の男は僕の神経を逆撫でにするようなことを得意気に言った。
 7曲目が終わり3部との繋ぎで、激しい自然変化を表現した映像が延々と垂れ流され、僕にとって無意味な映像と男の無意味な喋りが結び付いて行き、内部でマグマが暴れだしそうだ。気が付くと明菜ちゃんが怯えている。
 第3部は全米進出時のアルバムからフィーチャーされた全編英語の3曲で、観客の反応も少なかったせいで無事通過した。
 そして愈々問題の第4部チェロとの共演が始まった……




++++++++++これより本編+++++++++++



[ チェロ奏者は、弓を持った右手を小さく振り上げて、そっと弦に当てる。弦と弓が美しく触れ合って、チェロのビッグボディ内部で磨き上げられた重低音が、スーパーアリーナの大空間をたっぷりと満たして行く。暖かく大いなる力を感じさせる音色。ヒカルの歌にこそ注目していた多くが、伴奏である筈のチェロに聴き入ってしまった。少なくとも僕はそう感じた。★★★ ]

 素晴らしいチェロ演奏こそが罠そのものだ。空間を満たし切った豊かな音色の前で、抑制を利かしつつ堂々と歌唱できる人が、果たして何人居るだろうか。
 この種の楽器に主旋律を奏でさせて、歌に合わせようとするならそれはオペラだろう。ヒカルのハスキーな声帯と、繊細な感情を表現する歌には、決して適さないと僕は思う。
 オペラ歌手とヒカルの歌唱力を単純に比べているのではない。楽器と歌唱法、楽器と歌、両方の相性を言っているのだ。
 ヒカル以上のリズム&ブルース・シンガーが、今の日本のどこを探せば見つかるだろう。ヒカルは元々声量で聴かせるシンガーではなく、繊細な感情を表現するアーティストだ。熱狂しやすいコンサートでは、ワンステージ二十曲近くプログラミングするだけで、ヒカルには十分危険な時限爆弾となりうる。それが僕の見解だ。
 前夜、苦しみぬきながらも熱唱したチェロパート三曲は、最新アルバム「ULTRA BLUE」にも収録された、近年のヒットナンバーだ。何も出来ないのは分っていたが、素晴らしくも恐るべきチェロの前奏の間、僕は心を無にして、ひたすら聴くことだけに集中しようとした。
 トータル十一曲目に当る「Be My Last」……
「♪母さんどうして あ〜あ〜 育てたものまで あ〜あ〜♪」
 出だしの中音パート……抑制の利いた綺麗な声。集中、集中。
「……………♪何も繋げない手 君の手つないだ時だって…♪」
 音階がどんどん舞い上がって行く。どこまで行くんだ……胸が締め付けられる。
「♪Be my last… Be my last… Be my last… あ〜あ〜あ〜 Be my last… どうか君が Be my last… あ〜あ〜あ〜あ〜♪」
 ! やっちまった、ついに。高く上がるべき所だった。そこで下げちゃったか……
 前夜も良くはなかったが、下げたりなどしなかった。聴こえない声は心に直接響いて来た。僕に権限があるなら、ヒカルを今すぐここで止めてやりたい。
 明菜ちゃんが振り返った気がした。僕は構わずにヒカルを見詰め続けた。
「ヒッキ〜」
 曲が終わると幾つか悲痛な声が空間に響いた。一つの掛け声と次の掛け声までの微妙な「間」が、聴衆の感情の揺らぎを強く感じさせた。ヒカルを止めたかったのは恐らく僕だけじゃない。
 間も無く次の曲のチェロ演奏が始まり、場内はひっそりと静まった。
「誰かの願いが叶うころ」
 僕は遠くのチェリストに対し、できるだけ控え目に演奏するよう願ってみた。ヒカルが熱唱し過ぎなくても良いように。
 僕の願いは叶わない……
「…………♪あなたの幸せ願うほど わがままが増えてくよ♪」
 ダメだ……何て高い音階を使うんだ!
 この歌が終わった時も、哀愁を帯びた叫び声が会場のあちらこちらから、憎いほどに絶妙な間を置いて投げ掛けられた。ヒカルの喉が今にも潰れそうなんだもの、叫びたくもなるし叫ばなくてはいられないさ。声にこそ出さなかったが僕も心の内で叫んでいた。
 右の方から、またしてもヒカルを批判する男の声が聞こえて来る。好い加減にしてくれ!
 チェロパートのラストは「COLORS」だ。
「…………♪青い空が見えぬなら青い傘広げて♪」
 キーが高過ぎる!
 天にまします神様は、ヒカルを聴く為にここに集まった中の誰かの願いなど、叶える気配すら一向に見せなかった。なんとチェロパート三曲全滅! 高過ぎたパートは殆ど下げちまった。これが仮に新しいアレンジだと云うなら、メロディ的には今一としても受け入れるしかないが、これはアレンジなんかじゃなかった……
 十三曲目の「COLORS」が終わると、ヒカルがチェロ奏者の名前を客席に紹介して、名演奏を終えたチェリストは惜しみない大拍手を贈られながら、心地好い疲労感と充足感の中で、ステージを静かに退場する筈だった……ところが!
「時間を二分だけ私に下さい!」
 「COLORS」を歌い終えたヒカルは、昨日は言わなかったことを、ここで宣言した!
 ヒカルはそのままステージ奥へと小走りに消えて行く。
 バンドメンとチェリストは、ヒカルの背を見送った後もその場に立ち尽くしていた。
 会場は一時ざわめいたが、一人一人が自制した結果なのか、それ以上ざわめきは広がらなかった。誰もが固唾を呑んで事態を見極めようとしているようで、緊張感すら漂っていた。自分の気持ちが反射して、そう感じただけかも知れないが。
「ヒカルちゃん、どうしちゃったのかな」
「……分らない。どうしたんだろう……」
 明菜ちゃんはステージを見詰めながらそう呟き、僕はその横顔を見やってからぼんやりした感じで答え、次の様に付け加えた。
「たぶん喉の調整しているんじゃないかと思うけど」
「きっとそうだよね」
 明菜ちゃんは、不安混じりの曖昧な微笑を見せた。
 長く感じる。せいぜい二分か三分位なんだろうが。
 騒がしくなると予想した客席はまだ落ち着いている。不安を押し殺しながらも、元気なヒカルがステージに戻って来ることを、じっと胸で願う気持ちは、ここに居る誰もが同じなのだろう。同期する心情が仲間意識を醸成するのか、ここに一緒に居ることが何となしに嬉しかった。
「トイレじゃねえの。きっとうんこだ、絶対間違いないぜ」
 バカな奴が一人だけここに混じっていた。赦せない言動に対し爆発しそうだ。震える右の握りこぶしに左手を被せて、大きく息を吸ってゆっくり吐いた。
 首を下げてもう一つ深呼吸すると、強い憤りを押さえ込む事ができた。明菜ちゃんが小声で叫んだ。
「あ、出て来た!」
 顔を起すと同時に、会場から大拍手と「ヒッキー!」の呼び声が一斉に湧いた。オープニングの時に負けない位それは大きくて、目頭が熱くなった。
 マイクの前に立ったヒカルの顔は予想外に明るい。深刻な事態では無かったのか。
 ヒカルは会場のあちらこちらに視線を送って、歓声が静まるのを待った。客席は次第に話を聞こうと云う感じで落ち着いて来る。ヒカルは深呼吸した。僕がやったのと同じ方法だが、ヒカルに対しても沈静効果があるようだ。
「みんな〜 心配掛けちゃってごめんね!」
 ヒカルはそこで一旦切って、周囲をぐるりと見渡して行く。
「すっげぇ心配しちゃったよ〜!」
 野太い声が一つ聞こえて会場がどっと沸く。僕の緊張も幾らか解けた。ヒカルは声の方向を見てふっと笑った。
「今日は、声がよく出なくて、ホントにごめん!」
 ヒカルは目を伏せた。頑張りやのヒカルにとって、口にするのがとても口惜しい言葉。知ってか知らずか会場がしんとなる。
 ヒカルは顔を上げて満面の笑顔を見せた。
「でも、もう大丈夫だよ! ここから最後まで飛ばして行くから、よろしく!」
 割れんばかりの拍手喝采。僕も痛くなる位手を叩いた。
 ヒカルはチェロ奏者に対し深々と頭を下げてから、観客へ向き直り左手を彼女へと返した。
「素晴らしい演奏をしてくれたチェロの今泉さんで〜す!」
 待たされ過ぎたチェリストは、観客に一礼して退場したが、贈られた拍手は昨日の半分もあっただろうか。
(アクシデントなんだから勘弁してください)
 僕はヒカルの代わりに心の内で謝った。彼女の演奏には文句のつけようが無かった。
 キーボードを担当するバンドマスターの合図で「Can You Keep A Secret?」の演奏が始まると、目をかっと見開いたヒカルは歌い始めた。冒頭からボーカルで始まる隙の無い名曲だ。
「♪近付きたいよ〜 君の理想に〜 大人しくなれない、Can You Keep A Secret?♪」
 発声に問題点は無い。素晴らしい入りだ。僕も安心したが、会場全体の安堵感を肌で感じた。
 続く四つのフレーズは繰り返しで、何度か挿入されて来るパターン。馴染みやすさから多くの人がハモるように口ずさんでいる。
 観客の反応に気を良くしたのか、あるいは窮地を脱してほっとしたのか、右奥でステージ全体をコントロールするバンマスのマットや、レゲェヘアがとてもよく似合う陽気な黒人ベースギターのフォレストが、ヒカルと一緒にもっと歌えと、人差し指やスティックを回して観客にアピールして見せる。
「Hit it off like this. Hit it off like this, oh baby」
 そのバックコーラスのフレーズを、ステージ上のヒカルが歌うことは無いが、コーラスの声はヒカル自身によるものだ。二回目の時は一緒に口ずさんでみた。間近でも歌声が聴こえた。左を振り返ると明菜ちゃんは照れたような顔を見せた。

 後になって考えてみると、それから暫くの間、明菜ちゃんの顔をずっと見ていなかったような気がする……

 ヒカルの歌がとても良かったので、詩の中へすっと入って行けた。なんて素敵な詩なんだろう。まだ幼稚な小説しか書けない僕は、ヒカルの詩の才能を羨んでいた。いやらしい羨望や嫉妬なんかではなく、言ってみれば尊敬に近いもので、夏目漱石や京極夏彦を読んだ時に感じたものとよく似ていた。
 歌も良かったが表情は一層切なそうに見えた。距離が遠過ぎて幾ら明るいレンズを装備する高性能な双眼鏡と云えども、ここからでは画像がぶれる。それでもそう見えた……
 復活後の二曲目「Addicted To You」はさらに良い。完全復活だ、間違いない。これも切なくて心に深く染み入る詩だ。詩の内容とは真逆に、僕は嬉しくてしょうがなかった。嬉しくて切なくて、切なくて嬉しくて……
(こんなにもヒカルのことが好きだったっけ、俺)
 ヒカルに集中し過ぎているせいか、右からの声も左からの声も殆ど聞こえなかった。右の男と揉める心配は減ったが、明菜ちゃんの声にも気付かないとしたらそれは困る。
 復活後の三曲目は「Wait & See」
なんて懐かしい歌が続くのだろう。酔い痴れていた。三つともセカンドアルバム「Distance」へ収録されたヒットナンバーなんだから、懐かしくて当たり前さ。チェロパートの悲劇と二分間の中断で、ハラハラドキドキさせられた後が、この出来でこの三曲だなんて、誰が考えた展開か、まるで奇跡みたいな構成だ。純情だったあの頃へ帰って行くような気がした。
(今でも結構純だけどな)
 嬉しくて、ハイになって、一人バカみたいに声を殺して笑っていた。

 昨日はこの歌の後で長いMCが入ったんだっけ……
「ツアー最大の一万八千人だよ、こうして見ると壮観だねぇ!」
 額に右手でサンバイザーにしたヒカルは、客席をぐるりと見渡してから額の汗を拭ったっけ。
「みんなのパワーがエクトプラズムの様に、こんな風に立ち昇って見える気がする」
 右手を顔の前でひらひらさせたヒカルは、声が心地好く掠れかかって妙にセクシーだった。
「今朝のファンメールで『今日が誕生日の私の友達に一言お祝いをお願いします』っていうのがあったけど、これだけ多くの人が集まっていたら、外にも今日が誕生日の人はたくさん居そうだよね。私自身は前まで、生れた日を祝うことに対して、そんなに意味を感じていなかったけれど、最近になって今日まで無事生きて来れたことを祝うという意味では、誕生日は大事なんだなあって思い始めたの。ねぇ、みんな今日まで生きて来て良かったなぁ。じゃあその意味で、今日誕生日の人を代表して○○さんおめでとう!」
 身振り手振りの一つ一つが活き活きして素敵だった。ヒカルも僕たちと同じレベルで生きているような気がして嬉しかった。、
 歌だけでなく、MCでのヒカル節も最高だった。

 一杯一杯のヒカルが、ここのMCを簡単な一言二言で済ませてしまったことを、僕は物足りないなどと決して思わなかった。寧ろヒカルの歌に対する尋常ならぬ集中力さえ感じた。この状況でヒカルに必要なのは、観客を和ませるMCなんかじゃなくて、傷付いた自信とプライドを歌うことで取り返すことだ。この場に参加した大多数のファンも、一つ前の戦闘で傷付いて一時後退したヒカルが、これから奇跡の大逆襲を見せるかも知れないと、信じて期待していたのだし、期待は今満たされつつあった。
 短いMCに続いて中期の作品「Letters」……詩の内容からすれば、決して明るくはなく鬱々としているのだが、良い感じのノリで、手拍子など客の反応は凄かった。知らず知らずヒカルと一緒に口ずさんでいた。★★★




++++++++以下次回へと続く+++++++++




テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

浜田翔子Magazine 11/23Fri
No.31 [hs620~621;hs740~742] (今夜はハマショーの『夜遊びメールバトル 金曜』ですよ!)
『浜田翔子』…通称ハマショー。

マルチタレント、京都府出身、Birthday:1986.1.1, 21歳、動物占いはチータ、157cm、
 レースクィーン、グラビア、写真集、イメージDVD、Vシネマなどで活躍中。アバンギャルド所属タレント。
 2006年に映画主演とCDデビューも果たした。バラエティなどTV出演も増えている。今年からは新宿ルミネで吉本新喜劇にも出演中! 2007年10月ファーストCDアルバム発売!


 毎週金曜日の深夜、正確には土曜日の午前0時から朝5時までインターネットTV「あっとおどろく放送局」の
『夜遊びメールバトル 金曜』[←クリック&ジャンプ]に出演中。
 午前1時台の1時間だけは別の番組が挟まりますが、正味4時間近くあなたのメールなどを読んだりして、ずっとおしゃべりしてくれますよ!

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テーマ:浜田翔子 - ジャンル:アイドル・芸能

蒼井優Magazine 11/22Thu
 No.33 [ay687~691]

女優、Birthday:1985.8.17, 22歳、動物占いは狼、A型、出身地福岡県、160cm、趣味:ミュージカル鑑賞、ビデオ鑑賞、空鑑賞。特技:クラシックバレエ(2歳から継続中)、タップダンス、ピアノ。


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上戸彩Magazine 11/21Wed
 No.39 [ua659~664]

女優・歌手、Birthday:1985.9.14, 22歳、東京都出身、動物占いは黒ひょう、乙女座、O型、162cm、趣味はテニスと料理。


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 波打っていたり裏が透けていたりして見苦しい写真の多くは、少年誌など薄くて質が悪い紙面に掲載されたものだと思います。
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宇多田ヒカルMagazine 11/20Tue
 No.35 [uh612~616]

歌手(シンガーソングライター)、Birthday:1983.1.19, 24歳、動物占いは黒ひょう、A型、158cm、ニューヨーク州出身、趣味は読書、特技:パソコンの早打ち、テトリス、我慢、人の考えを読むこと。


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テーマ:宇多田ヒカル - ジャンル:音楽

堀北真希Magazine 11/19Mon
 No.34 [hm587~591]

女優、Birthday:1988.10.6, 19歳、動物占いはゾウ、てんびん座、B型、160cm、出身地東京、特技ピアノ。


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